寝たきりの大きな原因となってしまう転倒。
転倒で救急搬送される数は、高齢者全体の約8割を占めると言われています。
しかしこの中には、筋力不足が原因でないのに転倒してしまっている人もいるそうです。
転倒してしまう新しい原因、転倒を予防する方法を「名医とつながる!たけしの家庭医学」の番組からご紹介します。
目次
放送日時・概要
テレビ朝日
2019年3月5日(火)
名医とつながる!たけしの家庭の医学
3時間スペシャル
①大腸:日本人の大敵「大腸がん」のリスクを下げる栄養成分があった!
②転倒:激増する高齢者の転倒事故に朗報!歩く様子を見るだけでリスクが分かる、転倒の新原因「ながら力」とは?
③冷え症:実は身体の○○が冷えている!
出演
MC:ビートたけし、澤田有也佳アナウンサー
ゲスト:ガダルカナル・タカ、井森美幸、久本雅美、加藤茶
京都大学医学部人間健康科学科教授の青山朋樹先生が転倒予防について紹介しました。
年々増えている転倒事故
毎日1万5千人の人が救急搬送されており、特に高齢者の方が転倒して搬送される症例が多くなっているそうです。
冒頭にもありましたが、東京消防庁の発表では、高齢者事故の救急搬送のうち、8割以上が転倒事故とのこと。
ウォーキングや水泳などの運動を積極的に行う方が増えている一方で、高齢者の転倒事故は年々増えているそうです。
転倒の原因は下半身の筋力が衰えることだと言われていましたが、最近の研究ではそれだけではないことがわかってきました。
転倒リスクが3.5倍になる原因とは?
青山先生曰く、筋力が衰えていない人も転倒する原因はあるそうです。
その原因で転倒リスクは3.5倍になると言われています。
原因があるかどうかは、実は、歩いている様子を見るだけでわかるそうです。
筋力以外のある原因
番組では、60代以上の女性8人に転倒する原因があるか検証しました。
下半身の筋肉を測定したところ、全員が年齢相応の筋肉量であり、筋肉に問題がないことを確認しました。
次に、番組スタッフと一緒に世間話をしながらお散歩する、お散歩検査を行いました。
すると、スタッフから何か聞かれた時に立ち止まってしまう人がいました。
この、何か聞かれた時に立ち止まってしまうことが、転倒の新しい原因だそうです。
青山先生はこれを「ながら力」の低下だと言いました。
「ながら力」とは?
お散歩検査で立ち止まってしまった人は、脳が複数のことを同時に行う「ながら力」が低下している可能性があるそうです。
ながら力は、複数のことを同時に行う脳の機能です。
人間は両足を動かして歩きながら、同時に目や耳を通して周囲に注意を払うことで、転倒することなくスムーズに歩くことができます。
しかし、加齢と共に脳が衰え、ながら力の低下が進むと、「歩く+注意」が困難になり、転倒リスクが高くなってしまうそうです。
加齢による脳の萎縮とともに、最初に衰えやすいのが「ながら力」なのだそうです。
ながら力が低下すると脳も萎縮する!?
更に、お散歩検査で立ち止まってしまった人たちの脳の状態を確認してみました。
同年代の脳の萎縮度の平均値に比べて平均11.62%も萎縮しており、脳が衰えている可能性があるという結果になりました。
このことから、ながら力の低下と脳の萎縮が関係している可能性があることがわかりました。
ながら力チェック「色読みテスト」
脳の衰え度が分かる「色読みテスト」というものがあります。
こちらで実際にテストできますので、興味のある方はこちらをどうぞ。
↓ ↓ ↓
脳の萎縮をセルフチェック!色読みテストで「ながら力」年齢が分かる
脳細胞の萎縮は回復できる?
脳が萎縮してしまう原因は、脳細胞の死滅と脳細胞の萎縮の二つであると言われています。
脳細胞が死滅してしまうと再生は難しいのですが、萎縮しているものであれば回復することが可能だそうです。
つまり、脳を鍛えれば「ながら力」は回復できるのです。
それでは、脳のながら力を鍛えて転倒予防できる方法をご紹介しましょう。
転倒予防法:思い出しステッピング
転倒予防が期待できる「思い出しステッピング」とは、足踏みをしながら名前を思い出すというものです。
椅子に座った状態で構いません。
動物や果物などお題を決めて、10秒間速く足踏みしながら思いつく限り名前を言うだけです。
■検証
ここで、お散歩検査で立ち止まってしまった人に、毎日2回ずつ×5日間思い出しステッピングを行ってもらいました。
すると、5日後に検証前と同じようにお散歩検査を行ってもらったところ、
今度は一度も立ち止まることなく歩くことができたのです。
たった5日間でもながら力アップの兆しが見られたので、効果としてとても大きいでしょう。
■注意
ここで注意していただきたいのが、思い出しステッピングの目的は多くの名前を言えることではありません。
ながら力アップに繋げるために、「足踏み+思い出すこと」の両方に集中することです。
ぜひ、転倒予防として思い出しステッピングも取り入れてみてください。
こちらの記事もあります。
・大腸がん予防には出汁!効率的なのは干しシイタケ|たけしの家庭の医学
・認知症予防のトレーニングのやり方&口腔ケア・予備軍検査|名医の太鼓判
運動などで下半身を鍛えるのはもちろんですが、複数のことを同時に行って脳を鍛えることも、転倒を予防するために大切なのがわかりました。
思い出しステッピングは、ゲーム感覚で楽しみながらできると思います。
周りの人と一緒にお題を出し合いながら、やってみてくださいね。