徐々に記憶が失われ、身近な人が誰であるかもわからなくなってしまう認知症ですが、少しずつその姿が解明されつつあります。
今回の名医のTHE太鼓判では、認知症と単なる物忘れの違い、どの段階であれば認知症に至らずに済むのか、予防するためにはどうすればよいのか等について紹介されました。
目次
放送日時・概要
TBSテレビ
3月4日(月) 19:00~20:00
名医のTHE太鼓判!
最新!認知症&老眼改善!?SP
最新!今なら治せる認知症と老眼スペシャル
・認知症と歯の関係…新常識!歯と脳は繋がっている
・ダイアモンド☆ユカイが認知症セミナー体験入学!
・布川敏和が老眼をなおすレンズを試す
出演者
MC:渡部 建(アンジャッシュ)、山瀬まみ
レギュラー:児嶋一哉(アンジャッシュ)、原西孝幸(FUJIWARA)、藤本敏史(FUJIWARA)
ゲスト:高畑敦子、ダイヤモンド✡ユカイ、布川敏和、浅香唯、稲村亜美
医師:森田豊、丸田佳奈、大竹真一郎、朝田隆、荒井宏幸、松原英多、長谷川嘉哉
そもそも認知症とは?
・認知症は、記憶を司る海馬を中心に、脳全体が萎縮し、神経細胞が減少することです。
・認知症の一番の原因は、脳の神経細胞が死んでしまうことです。
・脳の神経細胞の死により、注意力、記憶力が悪化してしまいます。
・そして、それまでどおりに日常生活を営めなくなります。
認知症と物忘れとの違い
普通に生活していて、どうしても思い出すことができないことがありますが、もしや認知症では?と心配になりますね。
「単なる物忘れ」と「認知症」の違いは何でしょうか?
健康な人の物忘れ
■原因
老化による記憶力の低下が原因です。
■物忘れの程度
健康な人の場合の物忘れは、物事の全体のうちの一部を忘れてしまいます。
朝食を例にすると、朝食を食べた事は覚えているものの、どんなおかずだったかを忘れてしまうようなケースです。
■特徴
ヒントがあれば思い出せます。
日常生活については、支障はありません。
認知症の場合
■原因
脳の神経細胞の減少、異常により記憶の一部が抜け落ちてしまうことが原因です。
■物忘れの程度
認知症の場合、物事の全体を忘れてしまいます。
朝食を食べたこと、そのこと自体を忘れてしまいます。
■特徴
体験自体を忘れ、日常生活に支障が生じます。
認知症の段階
認知症の段階は、
・軽度認知障害(MCI)
・軽度認知症
・中等度認知症
・重度認知症
という4段階で表現されます。
軽度認知障害(MCI)の段階で治療することにより、認知症の発症を予防することができます。
予約殺到!認知症予防セミナー
東京都済生会中央病院で、認知症予防脳活セミナーを行っています。
2年間で156人が参加していますが、倍率3倍以上のときもある今人気のセミナーです。
認知症予防「デュアルタスクトレーニング」
認知症予防脳活セミナーで、理学療法士の國枝洋太先生が指導しているのが「デュアルタスクトレーニング」です。
デュアルタスクとは「脳」と「体」を同時に使う二重課題で、前頭葉を刺激すると、脳の血流が良くなり認知症の予防が期待できるそうです。
「デュアルタスクトレーニング」は、認知症予防のトレーニングです。
デュアルじゃんけん
じゃんけんと運動の組み合わせにより、注意力と実行能力を鍛えることができます。
特に、脳が混乱を整理しようと思考をめぐらすとき、脳の血流が増加し、さらに思考力が向上し、認知症予防に繋がるのだそうです。
<やり方>
①片手をグ―、他方の手をパーにします。両手を使ってグーとパーを交互に出します。
これを1分間続けます。
②次に、片手をグー、他方の手をチョキに代えて同様にします。
③更に、片手をパー、他方の手をパーに代えて同様にします。
以上ができるようになったら、足踏みをしながら、上記のじゃんけんを行っていきます。
デュアルしりとり
しりとりと運動の組み合わせにより、記憶力と言語能力、判断力、実行能力など様々な効果が期待できるそうです。
特に、グループでやることにより、自分以外の人が言ったことを記憶しておかなければならず、記憶力には非常に良いトレーニングになるとのことです。
<やり方>
・手拍子をしながらステップを踏み、前に出たときにしりとりします。
セミナー前後の認知機能テストの結果比較
セミナーを4カ月受講した方24人の結果は次のようになりました。
エピソード記憶:55点 → 62点
手の運動能力:49点 → 54点
※エピソード記憶・・・エピソードを交えた単語の記憶力のこと
デュアルタスクトレーニングなどにより、全般的に認知機能がアップすることがわかりました。
簡単で器具もいらないので、手軽に実践できそうです。
認知症検査
認知症が心配になったときに受ける検査としては、「物忘れ検査」と「MCIスクリーニング検査」があります。
物忘れ検査
番組紹介された検査です。実際にやってみたいと思います。
①次の3つのものを覚えてください。
桜
犬
自動車
↓ ↓ ↓
②100から7を引いた数字を答えてください
↓ ↓ ↓
③さらに7を引いてください
↓ ↓ ↓
④6、8、2を逆から答えください
↓ ↓ ↓
⑤3、5、2、9を逆から答えてください
↓ ↓ ↓
⑥最初に記憶した3つのものを答えてください
↓ ↓ ↓
以上です。
答え合わせです。
↓ ↓ ↓
↓ ↓ ↓
↓ ↓ ↓
↓ ↓ ↓
↓ ↓ ↓
答え
①桜、犬、車
②93
③86
④2、8、6
⑤9、2、5、3
⑥桜、犬、車
いかがだったでしょうか?
もちろん、出来ないからといって必ずしも認知症であるということではありません。
街頭で試された30人のうち全てクリアーしたのは9人だけでした。
MCIスクリーニング検査
わずか7CCの血液検査をするだけで80%という高い精度でアルツハイマー病かもしくはその予備軍であるかがわかる検査です。
アルツハイマー型認知症の場合、脳のゴミと言われる「アミロイドβ」という物質が犯人であるとされているようです。
アミロイドβの数値そのものを測定することは困難なのですが、MCIスクリーニング検査により、アミロイドβの減少に寄与する体内の物質がどれくらい残っているかを測定することができます。
これにより、どのくらいアミロイドβが存在しているかが判明するのだそうです。
この検査は、民間の病院で2~3万円程の費用で、2~3週間位で結果がわかるそうです。
判定のレベルは次のA~Dの四段階です。
判定 | リスク性 | 軽度認知症のリスク |
A | 0.62未満 | ほぼなし |
B | 0.62~0.72未満 | リスクは低め |
C | 0.72~0.82未満 | リスクは中程度 |
D | 0.82以上 | リスクは高め、検査、診断を受けるべき |
心配であれば受けてみるとよいでしょう。
認知症と口腔ケア
認知症予防専門の長谷川嘉哉医師によると、口と認知症とのかかわりが明確になってきたそうです。
噛むことによって血流が増加し、脳の活性化につながります。
このため、認知症の改善が期待できるのだそうです。
また、歯の根からは血管と神経が伸びており、脳にまで達しているということであり、実は歯と脳はつながっているのだそうです。
1回噛むことによって頭の血流が3.5CC増えるということがわかっています。
このことから、歯がなければ噛めずに、その分血流が失われ、認知症になりやすいと言えます。
また、歯周病菌がアミロイドβの増幅に関与して、脳に悪さをするのだそうです。
よって口腔ケアをしっかりすることにより、歯周病菌を減らすとともに、歯を維持できるため、認知症の予防に効果があると考えられます。
「デュアルタスクトレーニング」は、自分でも取り組むことができそうです。
また口腔内の環境を整えておくのも大切ですね。
歯医者できちんと治療してもらい、自分自身でも歯磨きなど日頃のケアをしっかりすることが認知症予防にもつながります。